ひとり綴り

職業

子供の頃、将来の夢、と言いますか、あこがれの職業が、ありました。

はじめは小学生の頃でした。

それを母親に言いましたら、

大、反、対、

されました。


母が私に勧めた仕事は、事務の仕事でした。

地元の小中高校を卒業し、短大にでも行き、どこかの事務の仕事に就けばいい、

とのことでした。


私のあこがれの職業は、専門の技術をもつ仕事なので、

母の言い分は、

それなら、中学卒業後に、その道に弟子入りして住み込みで修行しなさいよ、(あなたにそんな覚悟はあるの!?ないでしょう!)

ということでした。


私としては、高校卒業後に専門学校で知識や技術を学んだ上で就職、という道を思い描いていたので、

15才で親元を離れ、大人の社会に入って行く勇気は、とても、ありませんでした。


時代的にも、私の周りでも、そんな人はいないだろうと思いましたが


母からすると、
仕事ってものは、そんなに簡単なものではない、相当な覚悟がないと続かないのだと、伝えたかったのだと思います。


実際に、私は考えが甘かった。
この年になってもまだまだ甘いんだから、子供の頃なんて、
それはもう、手がつけられないほど甘かったことでしょう。

だから母は、厳しいことを言ったのでしょう。



専門学校には行かせてもらえそうにないし、母の言った通り、無難に短大を経て事務の仕事につきました。


それでよかったのです。

でも、

でも、


母親から、頭ごなしに反対されたことは、いつまでも、わだかまりとして、残ってしまいました。





母自身は、専門の技術を身につけて、それで収入を得ることができました。

その仕事にプライドを持っていると思っていたし、
その技術を、私はすごいと思っていました。



でも、

でも、

母にとっては、それは望んだ仕事では、なかったのだと思います。


本当は、進学して、事務の仕事につきたかったのだと思います。

学歴さえあれば、自分だって、事務の仕事につけたのに、と、思っていたかもしれません。

事務でなくても、お給料をいただける、会社勤めというものへの願望が強かったのだと思います。

母の仕事は出来た分だけが収入だったので、寝る間も惜しんで仕事をしていました。


だから、私には、進学を許してくれたのだと思います。たとえ勉強しなくても、行っておいた方が、いい生活ができると考えたのでしょう。




それなのに、理解の浅い私は、あこがれの職業を、頭ごなしに否定されたことを、いつまでも根に持っていたのでした。


前に、母は、そのことを、私に謝ったことがありました。


母も又、私なりの思いを、おもんばかってくれたのだと思います。


今はもう、母の思いが解るので、その事にこだわっていませんが、


まだ、短大に行かせてもらったお礼を、言えていないので、

それは言わなければいけないな、と思うのです。



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ありがとうございましたm(_ _)m